#21 旅行客の金に群がる住人たち バックパッカーブログ

世のバックパッカーがあまり立ち寄らない場所、オロンガポ市にてコテージをレンタルして過ごす日々が続いていた。

コテージから10秒程度で海に入れる環境が気に入って毎日、時間さえあれば海に入っていた。

そんな自分だけの楽しみを満喫していると、次第に住人の対応に変化が出てきたのだった。

 

 

その集落では、メインの店が3店舗あり基本的には個人商店のコンビニだ。

ユキにお遣いに行ってもらったり、一緒に店に行くことがあったのだが一緒に行くときにはユキの好きなお菓子やジュースをよく買ってあげていた。

その度に、店員から「お前は金持ちだな」とよく言われ他の商品を勧められることが多々あった。

その度に笑いながら気にせず立ち去っていたのだが、現地の人からみたら金払いのよい客にみえていたのかもしれない。

 

コテージには毎日、誰かが遊びに来ていた。全員がヨハンナの友達なので、自分も警戒することはなかった。

 

しかし、ある時ちょっとした事件が発生した。

その日はヨハンナと2人だけで街中へ出かけていたのだが、帰ってからヨハンナの飲み物「粉末ミロ」を作ろうとしたが中身が全てなくなっていたのだ。

てっきりユキが全部飲んだのだろうと思ったが、日本でもよくみるお徳用サイズでかなり大きい。1人で数十杯も飲めるわけがないが、コテージで留守番していたのはユキだけだったので聞いてみた。

ヨ:「私の飲み物が全部なくなってるけど、ユキが飲んだの?」

ユ:「知らない」

ヨ:「知らないことはないでしょ。なんで正直に言わないの?」

ユ:「本当に私は知らないの」

自分はあまり気にしていなかったので離れたところでタバコを吸っていたが、なにやら2人の様子がおかしい。なんとユキが泣き出してしまったのだ。

自:「どうしたの?何でユキが泣いてるの?」

ヨ:「ユキが私の飲み物全部飲んだのよ」

自:「うそでしょ。あんなに大きいのに1人で飲めるはずないじゃない」

ヨ:「でも、これ見てよ。全部ないでしょ」

たしかに差し出されたミロはほとんどがなくなっていた。

自分が覚えている限りでは2人が飲んだ回数はほんの数回しかないはずだ。

自:「でもユキが全部飲めるはずないじゃない。もしかしてユキがこぼしただけとか?」

その間ずっとユキは泣いているだけだったが、ここで口を開いた

ユ:「ママの友達が来て、私に飲み物の場所を聞いてきたの。でも教えなかったのに勝手に食料置き場へ探しに行って持って行ったの」

さすがに驚いた。

友達の家に勝手に入って食料を盗んでいったのだ。しかも、その友達はよくご飯のときに来ては勝手に食べていたのは覚えている。

こちらが食べきれなくなったものだったから気にしていなかったが、少しナメられてしまったのかもしれない。

コテージの中は扉がついているので鍵を閉めていたので、自分の貴重品は大丈夫だったが購入した食材や飲み物などは部屋の中には入らなかったので外に出していたのだ。

その後もヨハンナとユキがタガログ語で会話をしているが、自分には教えてもらえないしヨハンナの口調がきついままだったので助け舟を出すことにした。

自:「ユキが悪いわけじゃなく、勝手に家に入って盗んだヨハンナの友達が悪いでしょ。英語では難しいから代わりに伝えてあげて。1人で留守番させてごめんね。本当のことを話してくれてありがとう。ユキはこれから先も人の物を盗るようなことは絶対しちゃダメだよ」

ひとまず、犯人がユキじゃないことにほっとしながらも今度はヨハンナに

自:「俺が日本人だからかもしれないけど、友達の食べ物を盗るなんてひどいよね。俺が直接聞いてもいいけど、どうする?ヨハンナの友達だから任せるよ」

ヨ:「ごめんなさい。明日、私が彼女にちゃんと話しするから」

自:「よし、じゃあ話しは済んだから3人で好きな飲み物を買いに行こうか」

今回はミロ1袋だけだので、被害としては少ないがこれを放置しておくとこの先どんどん被害が多くなりそうなので釘を刺す必要がある。

しかしまずは3人の暗い雰囲気を変えるためにもそれぞれの飲み物を準備して気分展開することにした。

ユキもすっかりいつも通りになってきて、留守番の時間が寂しかったのかしきりに海に遊びに行こうとせかしてくる。

ユ:「ねぇねぇ。もう海には入らないの?」

自:「もう夜だよ。ユキは海に入りたい?」

ユ:「うん。でも1人で夜の海に入っちゃダメだから一緒に行きたいよ」

自:「じゃあ夜だし、日焼けもしないし3人で入るか?」

 

日中とは違って夜の海は少し寒いのだ。しかし、オロンガポの海には夜光虫がいて波の振動に合わせて光る姿は神秘的だった。

ユキは初めての夜の海だったらしく、夜光虫も初めて見たのだというのだ。やたら気に入ったみたいでずっと海をかき分けながら光る夜光虫で遊んでいた。

自分とヨハンナはすでに海から上がって、ユキを見守りながら今後の話しをしだす。

自:「これから先だけど、コテージにいないときにはセキュリティーはどうしよう?」

ヨ:「あなたの荷物は絶対に部屋の中から出さないでね。食べ物も出かける時には中に入れておけばたぶん大丈夫」

自:「ところで、変な質問するけどヨハンナが住んでいたときには同じことあった?」

ヨ:「そんなことがあったら私がパンチしてるよ。たぶんあなたがお金持ちだからみんな集まってきてるよ」

 

最初は友達として歓迎されていたつもりが次第に自分をことを

「金を持っているヨハンナの友達」

としか認識していないのかもしれない。

しかし普通の感覚だと友達から盗みは働かないはずだ。しかもユキの目の前で犯行を及ぶなんてどう考えてもバレないはずがない。

少しばかり雲行きが怪しくなってきたが、この2人は何かをねだることはなかったのでここはしばらく様子を伺うことにした。